年に二回行われるソニーの総合提案会。そこで得られた情報をレポートいたします。また、今後のソニーの方向性を、それら事実から私見として考えておこうとおもいます。

  • テレビ フラッグシップモデル2機種登場

 

まずはじめに飛び込んできたのはテレビ。フラッグシップモデルとして2機種が登場します。「フラッグシップなのに2機種?」とも思いますが、これはソニーの考えでは、有機ELテレビの領域で、また液晶テレビのそれで、最高位のテレビとして登場させるという考えがあるからです。

 

有機ELテレビA9Fシリーズ

液晶テレビZ9Fシリーズ

 

A9Fシリーズは、今年の春に登場したA8Fの後継機種ではなく、昨年に登場したA1の後釜になります。

 

Z9Fシリーズは、2016年に登場したZ9Dの後継機種として位置づけられます。

 

どちらも、8Kの情報量を処理することが可能である、画像解析技術「X1 Ultimateプロセッサー」を搭載している点がポイントです。パネル自体は、韓国などに頼らざるを得ない状況がありますが、実は、こうした画像解析技術など日本独自のものが組み込まれ、日本の、そして各メーカーの独自性・個性を発揮している、というわけです。すなわち、こうした画像解析技術は、ひとつの競争軸として捉えられる、ということでもあります。そしてさらなるポイントは、こうした技術がすでに登場するということ自体が、8K画素をもつテレビの登場を今後予感させる、という点でしょう。

 

 

これに加えて有機ELテレビは、「音」に力を入れています。「画音一体」。すでにご体感された方も多いと思いますが、画面そのものがスピーカーになっている、画面そのものが振動してわたしたちの耳に音が届く、というだけではなく、音がその発生元から届くという「アコースティックサーフェス」技術。これが、左右サブウーハーの増設、センタースピーカーの内臓という形で進化いたしました。当然、音の「奥行き感」がA1とはまったく異なるものになっています。振動を伝えることができる有機ガラスの特性を応用し、さらに、音の性質上課題となる「音干渉問題」を技術でカバーしています。

 

 

現在、有機ELテレビの体験でみなさんが一番驚かれるのが、こうした「画音一体」にかかわる点であり、ソニーの独自性の今一つの点として、この技術が市場を創造している、とみることができるでしょう。

 

 

一方、液晶テレビZ9Fは、この有機ELテレビとの画質比較からいくと、どうしても残念な感覚が残ること、否めません。その大きな要因のひとつは、「バックライトマスタードライブ」という、パネルのバックライトを構成するLED素子ひと粒ひと粒を制御コントロールし「黒色」の表現を液晶レベルにおいて最高峰に実現できたこの技術をカットアウトしてしまった点です。いかに画像解析技術がよくても、昨今、HDRとの関係で重要視される「コントラスト」にかかわるこの部分のウェイトを落としてきたことが、画質比較の残念感を作り出しているといえます。

 

そしてこれらのことを総じてみると、テレビにおけるソニーの考えが推察されます。

すなわち、「フラッグシップモデルとして、2機種を投じ、有機EL・液晶、どちらにも力を入れたという事実はある一方で、実は「有機EL市場を拡大させたい」」という意向が見てとれるということです。言い換えれば、液晶フラッグシップZ9Fを捨て石にして、有機ELフラッグシップA9Fへの注目度を上げる、そして、液晶の時代は終焉を迎えている」という宣言を、その液晶フラッグシップの劣勢を製品に組み込むことで、、暗に、暗に、告げているととらえることもできるといことです。

 

もちろん、液晶テレビが選好された場合の戦略オプションとして「バックライトマスタードライブ」をまだ残している、という点も強みであるに違いありません。戦略の多様性が担保されたオプションはやはり強い、ということがここでも言えます。

 

 

  • アンドロイドTVという切り口

 

数年前からテレビにアンドロイドOSを搭載し、いわゆる巨大なタブレットを登場させました。音声検索の向上とあいまって、本格的にインターネットに接続してYouTubeや、NETFLIX、Amazon PrimeVideo、HULUなどのVODを楽しむことができるこの時代。ソニー一社でこの領域を切り開いてきましたが、ここへ来て各社、この方向に足並みをそろえてくる気配を感じます。たとえば、今年の年末の目玉でもあるBS4K放送に応じて各社チューナーを登場させますが、その中でパナソニックはそのチューナーに「Googleアシスタント」を搭載する模様()です。またシャープは、すでにアンドロイド搭載のテレビを投入しています()。

 

競争は市場を拡大させ、意味と文化を創造する。すでに確立したスマートホンの文化と共依存しながら、この領域が本格的に「カテゴリー」として成立する可能性が、これらの事実から示唆されます。

 

こうした環境において、先発として挑戦し続けてきた、やはり、この領域におけるソニーの優位性が見受けられます。

 

 

しかし、一方で次の動きを忘れてはなりません。

 

すなわち、スマートプロダクトという切り口から、あらゆる家電をネットワークでつなげ、遠隔操作していこうという方向です。この方向において注目しておく必要があることは、「YouTubeやNETFLIXなどの動画を楽しむ」という現在形成されている、競争によって醸成された「意味」が、「スマートプロダクト群」の連携という新たな提案を皮切りに「意味転倒」が生じうる、という点です。言い換えれば、いつのまにか「スマートプロダクト群」の一要素としてその意味が吸収され、そこに登場するプレーヤー(メーカーやユーザーも含めて)たちが「自分たちが形成してきた意味」に必死になるあまり気づくことができず、主体だった彼らが「新しく意味形成」されるであろう市場から取り残されてしまう可能性がある、ということです。

おそらく、ここで重要な点が「AI競争」なのではないか、と考えます。

このAI競争が、「意味転倒」の先にある「新しい意味形成」につながる競争なのではないか、ということです。

 

ソニーとしては、現時点において、この点を主体として展開できないことが想定される以上、先ほどに指摘した優位性はすぐにでもその効果を発揮しなくなるかもしれない。そしてこのことは、AIのOS開発への取り組みが見受けられない家電各社においても同様のことがいえます。

 

  • ミラーレス一眼という市場

 

これも、現在、市場が大きく揺れ動いている、転換期といえるでしょう。ここへ来て、有力メーカー、ニコン・キャノンがミラーレス商品を発表いたしました。

ソニーが注力してきたミラーレスという領域の優位性を認めざるを得ない結果となった。

ひとつの商品群が、他社の参入によるカテゴリーとして、市場として成立する瞬間である、といえます。

 

 

そして、ここにもソニーの優位性が理論的にも実践的にもあるという現実を指摘しておいてよいでしょう。特に、対ニコンについては、イメージセンサーを供給しているという事実からも、この優位性の強度は、ちょっとやそっとでは落ちることはないと考えられます。そしてこのことは、今後ますます、他社からユーザーを奪いながらそのシェアを拡大していく可能性が高い、といえるでしょう。

 

ミラーレス一眼における他社との比較は、後日、行いたいとおもいます。

 

 

  • ハイレゾ ヘッドホンについて

今回のラインアップの特徴のひとつ、「ライブステージモニタータイプ」があります。この言葉を登場させたことで「今までのヘッドホン」は、リスニングタイプという位置づけに。

 

この2つの領域で、フラッグシップモデルが登場いたします。

 

ステージモニタータイプ

IER-M7

IER-M9

 

 

リスニングタイプ(画像、入手できませんでした)

IER-Z1R

 

ヘッドホンの音は感覚による部分が多く、なかなか説明が難しいのですが、聞いてみて一言「すばらしい」。これ以外の形容の余地が見当たらなかったです。

 

 

 

  • 総評

①画づくりのためのプロセッサー技術

②音へのこだわり

③アンドロイドTVやミラーレス一眼など市場創造の現実化

 

①については今後のテレビの方向性が、②については現在課題としているものが、③については今までの挑戦の成果が、この提案会にて推察されるものとして導きえた、としておきたいと思います。